山手線の車内に液体がこぼれていて「うわーやられた」と思った話

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山手線の車両の中央部がどうも空いているな、と思っていたら、炭酸水らしきものが床にこぼれていた。

何だこれ誰がこぼしたんだ?と思って見渡すと、エレキギターを背負った無精髭のミュージシャン風が近くで開封済みの発泡酒を持ちながら顔を赤くしていて、おいおい、堪ったもんじゃないな、と思っていると、次の駅に止まって、乗客が乗ってきた。

すると彼は、「すいません、すいません。これこぼしたの僕なんです。すいません。」と、乗り込んでくる人たちに謝り始めたのである。

ドアが閉まって電車が出発すると、発車時の加速度でツーーと発泡酒が流れ始めた。するとまたバツの悪そうな顔をしながら「ごめんなさい、ご迷惑かけて。」

次の駅でも、乗り込んでくる客に謝罪をし続けていた。ほほう、なんと殊勝な人だろうか。すばらしいリカバーである。見た目で判断してしまって申し訳ない。しかし、誰も返事をしない。なぜか「謝って当然だろう」的な雰囲気まであった。まあたしかに、電車の中で飲酒していて手元が狂ったってところだろうし、自業自得なのだけれど、私としては最初にイラっとしたのが申し訳無くなってきた。

そんなこんなで、池袋駅に着いたときに、開いたドアから入ってきたのが外国人の集まりだった。すると彼は今度、「アイムソーリー、アイムソーリー。ディスイズマイフォルト。」と英語で謝罪を始めたのだ。

マジか、英語でよくやるなあ、と感動していたら、その外国人集団のひとりが、にこやかに「ノープロブレム」と返した。いやいや、別にまあ気にしないよ、というコミュニケーションを彼と取ったのである。

これを見たときに、「うわーやられた」と思った。

なぜ、私にはあれが言えなかったのだろうか。こうやって誰かが一言を声をかけるだけで、彼もちょっと心が軽くなったんじゃないだろうか。

たしかに、普通に考えたら、「あの酔いどれ野郎を許してたまるか、ふざけるな」とか「は?何がノープロブレム♪だよ。いいから床拭けよ」と思うのも理解できるし、たとえ最初から全く気にしていなかったとしても返事までするのは躊躇するだろうけれど。

しかし、何というかこう、こうやって難しいことをぐにゃぐにゃ考えずに返事ができる彼らが羨ましくも思えた。