東南アジア旅行記 Day 10 クアラ・ルンプールの打ち上げ花火

@マレーシア・クアラルンプール


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東南アジアの料理は、ふつうの日本人にとっては量が多いことも多いが、スパイスが効いているため、苦しみながらも平らげてしまう。食後、耳孔からポタポタと汗を落としながら、不必要なまでに甘味が効いたローカル珈琲「コピ」と、ココナッツ・アイスで口内を中和する生活にも慣れてきた。

ある晩、いつものように食事を取っていた折に、街に突然銃声のような〈破裂音〉が響いた。何ごとか、と驚いて飛び出すと、夜空に花火が打ち上がっていた。それは、確かに花火であった。しかし、あの花火―大きな花弁が、瞬く蛍光が、這い登る白蛇が、レイド・バックしたふくよかな爆発音が―とは全く異なり、打ち上げ花火としての必要十分な機能を有したのみの、である。適当な回数が打ち上がり、火花を散らしたのを見届ると、私と同様に足を止めて眺めていた人々は、片時の未練も表さず歩き始めた。

なるほどスパイスは効いているが、味も素っ気もない。