バーガーキング『直火焼き広告』は何故カンヌ・ライオンズでグランプリを受賞したのか

f:id:ekanoh:20170620231901p:plain

バーニング・ストアズ

「チラシって古めかしいメディア(媒体)と思われるかもしれないけど、一流の印刷広告は顧客と非常に対話的なコミュニケーションをもたらすんだ。」

と、フラン・ラッキン(グレイ・アフリカCCO)が出版・印刷部門の審査員に向けて語った。カンヌ・ライオンズにて、この言葉を完璧に体現し、グランプリを受賞したのは、バーガーキングの『バーニング・ストアズ(燃えさかるお店)』というキャンペーンだった。

チラシのニュー・クラシック

ラッキンは、カンヌ・ライオンズの冒頭で審査員にこう語った。

「私は『新古典(ニュー・クラシック)』を探している。昔ながらの印刷広告らしさを思い出させて、パッと心に突き刺さり、それでいてなお複雑なメッセージを凝縮したような広告だ。」

広告代理店のデイビッド・マイアミが、この言葉をまさにそのまま具現化した。

受賞した『バーニング・ストアズ』は、バーガーキングの店舗が火災を起こし、消防隊が消火活動をしている写真がモチーフになっている。

実は、『バーニング・ストアズ』は印刷広告のあらゆる要素を余すことなく詰め込んでいる。

まず、何と言っても「バーガーキングの店舗が燃えている」という印象的な写真。

さらに、「1954年から直火焼き」というシンプルなコピー。

これは、バーガーキングは直火で焼いていることをウリにしており、またそれゆえ、他のファストフードチェーンと比べても圧倒的に火災事故が多いことを自分自身で揶揄した形になっている。

顧客は「なるほどやられた」と唸らざるを得ないのである。

f:id:ekanoh:20170621001553p:plain

"FLAME GRILLED SINCE 1954"

欠点をさらけ出す

ラッキンは、この作品が「ブランドの最悪の瞬間を開示している」点がとりわけ現代的だと指摘する。

これはつまり、昨今のオンライン・コミュニケーションにおいてブランドが顧客と密接に繋がるためには、「欠点をさらけ出す」ことが重要である、ということだ。

ブランドが「ありのまま」でいる勇気を持つことができた、近年のソーシャル・メディア時代ならではの作品だと言える。

もっとおどけて、もっとありのままに、そして、ちょっとだけエッジを効かせる。

これまで慎重に慎重に創り上げられてオフィシャルな創作物として発表されていた昔ながらの印刷広告からの脱皮と言えよう。

欠点をユーモアに

私たちはもはや、インターネットを通してブランドのあらゆる情報にアクセスできてしまう

つまり、もう顧客を騙すことはできないのだ。ブランド側はもっと正直にならなければならない。

現代のソーシャル・メディア時代においては、欠点を自ら認めてそれを「いじる」のはスマートだと言えよう。

コカ・コーラ社の経営陣が"Flawsome = Flaw(欠点)+ Awesome(すごい)"という言葉を使ってこの現象をうまく表現していた。

「誠実さ」を大事にして、不完全であることを認めるのである。

バーガーキングは、皮肉混じりにおどけて、すっかりと若々しさを取り戻した。

クリエイティブの外の世界と繋がる

ラッキンは、金賞を受賞したForbesHeinzのキャンペーンを取り上げて、これらの作品も「作品の外の世界とやり取りしている」点で優れていると述べる。

一見、美しく創り上げられていても、閉じ籠もった印象になってしまうクリエイティブが多い中、これらの作品はコンテクストを考慮して創られており、物議を醸したり、思わず考えさせられてしまう

誰しもが意見を持ち、評論や、変化を引き起こすように創られているのだ。

引用元

www.adweek.com

(許可を頂いて、翻訳させて頂きました。)