と、
音楽と、
読書

No Beer, No Live

ちょうど一昨年の今日、留学先のイギリス・ニューカッスルから日本に帰ってきた。私はイギリスにいる間、ピアノ・トリオと呼ばれる3人編成のジャズバンドで演奏活動を行っていたので、帰国の前日には、そのメンバーの1人であるPeterとお酒を飲み交わすことにした。

PeterはOscar Petersonを敬愛する軽快なピアニスト。とある事情でアメリカに入国禁止になっているような荒くれ男だったが、彼のユーモアのおかげで笑顔の絶えないバンドであったことは間違いない。所帯持ちで、かれこれ数十年間ミュージシャンとしてのキャリアを積んでいる。

行きつけのパブであるTHE FIVE SWANSに着くと、相も変わらず、ジャズの話をした。彼に「ジャズとは?」と聞くと、「ジャズとは、ミュージシャンが即興でコミュニケーションをとる精神空間のことである。加え、高め、お互いを刺激する、それだけを行う場だ。これらが人生の指針足りうることは、言うまでもない。」などと、渋い顔をして答えてきたので、カッコつけすぎだろ、と茶化した。

終着地が見つからないような話を2時間たっぷり話して、そろそろ行こうか、となった帰り際に、そういえば、と思って、「なぜジャズミュージシャンに?」と聞いてみた。彼が、「俺は、ビールが好きなんだ。仕事中にビールが飲み放題な仕事なんて、この世でジャズ・ミュージシャンだけだろ?」と笑って答えて、私にNewcastle Brown Aleを勧めた。

Cheers.(乾杯。)”

ところで、彼の最後の言葉は “See You Later.(また会おう)” だった。あれから2年が経ち、まだ再会は実現していない。しかし、私の精神空間の中では、『人生の指針』として、彼の言葉に何度も再会している。