『多動力』を読んだ ― 昨日と同じ今日を過ごしてないか?

老いとは、新しいものに興味がなくなること。

昨日と同じ今日を過ごしてないか?

堀江貴文 『多動力』

ホリエモンこと堀江貴文氏の『多動力』を読みました。

好奇心に正直に、そして自分のために生きている方だなあ、と感じました。しかし、「自分の時間を生きる」ために「会議中にスマホをいじるのも厭わない」などという記載もあり、「うーん、さすがにそれはどうかな…」と釈然としない部分もありましたが、冒頭の引用も含め、心に響く提言も多かったです。

『多動力』の必要性

さて、多動力とは、いくつもの異なることを同時にこなす力だそうですが、なぜこの時代にそれが必要なのでしょうか。 以下の2つの理由を指摘しています。

  1. サービスのオンライン化
    • Webが産業を横串で刺し、垂直統合型産業の壁を乗り越える
    • iPhoneのホーム画面には、ショッピング、運送、不動産、出会い・・・あらゆる分野のサービスが並ぶ
  2. 情報のオープンソース
    • 職人の秘伝のタレの製法はググれば出てくる
    • 時間をかけて修行して「車輪の再発明」してもムダ

つまり、

  • オープンソースの時代では、機能や品質面で大差ない製品を作ることはどんどん容易になる

ので、

  • 業界の壁を軽やかに飛び越えていく「越境者」に価値がある

というところでしょうか。そして、「越境者」になるための要件が、「多動力」であるといいます。

市場価値=希少価値

いわゆる「プロフェッショナル」というと、ひとつのことにコツコツ取り組み、その分野で大成する人のイメージが強いですよね。そのため、「越境者」は、どちらかと言うと「器用貧乏」の印象も受けるかもしれません。

しかし、ホリエモンは、

  • ダイアモンドは、美しいから高いのではなく、「希少」だから高い

と指摘した上で、以下の考え方を提唱しています。

  1. ひとつのことに一万時間かけると、100人にひとりの人材になる
    • しかし、それ以上続けてもなかなか偏差値が上がらない
  2. そこで、また別のことに一万時間かけると、100人にひとり × 100人にひとり = 一万人にひとりの人材になる

つまり、同じことに時間をかけ続けると、だんだん価値があがりにくくなってくるため、あえて「越境者」として、複数の分野で「80点」を取っていく、ということでしょうか。したがって(80点を取って)「飽きる」ことは、成長の証としています。

本書は、ホリエモン節全開の口語体で軽妙に書かれていますので、1時間足らずで読めます。 『多動力』をいかに実践していくか気になる方は、ぜひご通読を。

多動力 (NewsPicks Book)

多動力 (NewsPicks Book)

太宰治の『朝』は、昭和の『やれたかも委員会』だった

cakes.mu

太宰治の『朝』を読んでいたら、ふっと『やれたかも委員会』を思い出しました。

どうやら「情動との葛藤」は、今も昔も文学のテーマになるようです。

ほんの5分で読める超短編なので、普段あまり興味の無い方も、ぜひ。

太宰治 朝

恋愛は、チャンスではないと思う。

私はそれを意志だと思う。

― 太宰治

バーガーキング『炎上広告』にみる、ソーシャル時代の「ありのまま」ブランディング

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燃えさかるお店

「印刷媒体は古風なメディアと思われるかもしれない。しかし実は、一流の印刷広告は顧客と非常に対話的なコミュニケーションをもたらす。」

これは、カンヌ・ライオンズで、Fran Luckin(Grey Africa, Chief Creative Officer)が出版・印刷の審査員に向けて送った言葉だ。この言葉を完璧に体現し、グランプリを受賞したのは、バーガーキングの"Burning Stores(燃えさかるお店)“というキャンペーンだった。

印刷広告の『新古典』

Luckinは、最初に審査員を集めて、こう伝えた。「私は『新古典』を探している。昔ながらの印刷広告の素晴らしさを思い出させ、たちまち心に突き刺さり、そして複雑なメッセージを一瞬に凝縮したようなものだ。」

そんな『新古典』を創り出したのは、広告代理店のDavid Miamiだった。受賞した"Buring Stores“は、バーガーキングの店舗が火災を起こし、消防隊が消火活動をしている写真がモチーフになっている。

この作品は、印刷広告のあらゆる要素を余すことなく含んでいる ― 印象的な写真、そしてシンプルなコピーに次いで、「なるほど」と思わせる瞬間がやってくるのだ。

(注:バーガーキングは直火で焼いていることをウリにしており、またそれゆえ、他のファストフードチェーンと比べて、圧倒的に火災事故が多い。)

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FLAME GRILLED SINCE 1954

欠点をさらけ出す

Luckinは、この作品のとりわけ現代的な点は、「ブランドの最悪の瞬間を開示している」ことだという。つまり、オンライン・コミュニケーションにおいて顧客と本当に繋がるためには、「欠点をさらけ出す」必要があるのだ。

これは、慎重に創り上げられて、公的に発表されていた、昔ながらの印刷広告からの脱皮だ。ブランドが「ありのまま」でいる勇気を持った、ソーシャル・メディア時代ならではの作品だと言える。もっとおどけて、もっとありのままに、そして、ちょっとだけエッジを効かせる。そんな感覚がある。

欠点をユーモアに

誠実さを重んじるソーシャル・メディア時代においては、欠点を認め、それを「いじる」のはスマートな戦略だ。誰もがブランドのあらゆる情報にアクセスできてしまうこの時代では、我々はもっとリアルにならなければならない。コカ・コーラ社の経営陣が"Flawsome = Flaw(欠点)+ Awesome(すごい)"という言葉を使っていたが、不完全であることを大切にすべきだ。バーガーキングは、皮肉混じりにおどけて、若々しさを取り戻す勇気があった。これからのコーポレート・イメージには、このようなユーモアを取り入れる必要もある。

外の世界とやり取りする

Luckinは、金賞を受賞したForbesHeinzのキャンペーンを取り上げて、これらの作品も「作品の外の世界とやり取りしている」点で優れていると述べる。

美しく創り上げられているが、自己言及的で、閉じ籠もった印象の作品とは違う。コンテクストを考慮して創られており、物議を醸したり、思わず考えさせられてしまう。誰しもが意見を持ち、評論や、変化を引き起こすように創られているのだ。

引用元

www.adweek.com

(許可を頂いて、翻訳させて頂きました。)